シニア男子1位は山隈太一朗選手(明治大学)です。兵庫県の芦屋国際中教校から明治大学に進学。今年は東日本に活動拠点を移し、東京ブロックではデビュー戦。
ショートは昨年に引き続き映画『君の名前で僕を呼んで』から。
冒頭のトリプルアクセルは転倒したものの、その後のトリプルルッツ+トリプルトウループ、トリプルフリップは高さのあるジャンプで点数は65.50。
東京ブロックのデビュー戦いかがでしたか?
山隈「西の試合と比べて雰囲気が違うな、とは6分間滑っているときに感じました。まだしっくりくる感じが、ちょっとないなっていう…。この雰囲気にフィットしているか、微妙なところがあったんですけど。内容的には(冒頭のトリプル)アクセルが悔しいんですけど、そのあと3+3とフリップを決められたのは良かったなと思います」

山隈「そうですね。まずまず。とりあえず順位も危なかったですけど1位とれたので。今回、自分にプレッシャーを与えてショートに挑んだんで。その結果、点数が自分の中では物足りないんですけど、結果はしっかり初日は出せたので良かったと思います」

山隈「まずは自分の練習と本番のクオリティに違いを出さないように。練習でやってきたことがそのまま本番で出せるように。それを出すことを意識したので。練習通りには足りないかな、という感じなんですけど、まあ、大方練習通りにはできている感じはするかなと思います」
明日はどんな風に滑りたい?
山隈「新しくしたフリーをこの夏しっかり滑り込んでこられたので。その滑り込んだ成果を皆さんにお見せできるように。まずは中身をしっかり。エレメンツの失敗をなくして、そこからプラスアルファでできるかを課題にしていきたいです」

山隈「去年よりショートの曲のイメージ、自分が持っている表現のイメージを変えたので。それに乗じて変えてみようかなと」

山隈「前は音楽の感じをそのまま、ここがきれいだから動きをきれいにとか、ダイレクトに考えていたんですが。(佐藤)操先生と話し合ってショートの曲調に自分の中で物語をつけて、一本の映画みたいな感じにしてやっています」

山隈「あ、それはすごくうれしいです。2年目というのは自分の中でも難しいなと思っているので。去年、ショートで自分の納得のいく演技がたくさんできた。だからこそ余計に同じ演技をするわけにいかなくて。何か新しい演技を作り変えたいと。その違いが出せているかは、見てもらわないとわからなかったので。そういう風に言って頂けるとうれしいです」

山隈「そうですね。自分の中ではエレメンツはアクセル失敗したんですけど。あれが回転不足かどうかはシートを見ないとわかりません。が、こけたのは大きいけれど。自分の中でももっと点数を出しておきたいなと思います。65点台は納得できる点数ではない。おそらく取りこぼしがたくさんあるので、そういうところがわかるのが(試合の)いいところ。しっかりと拾っていきたい」

山隈「スケートづけの毎日が過ごせて。練習時間も違うし、今までの夏で一番自分の体も追いこめたし、数も滑れたと思いますし、充実した夏を過ごせたと思います」

山隈「曲調が3パターンあって。3回変わる。それぞれに個々のストーリーをつけていて。真ん中のステップは、すごい自分の中で、このショートは夢の中の話というふうに考えています。ひとつめは自然の中。目が覚めたら大自然の中にいて。きれいだなと思ったら、急に古い町並みの、昔のニューヨークの大都会にいきなり落ちてきて。いろんなものに驚きながら。ステップを踏んでいって。最後の曲のところで世界ががらりと変わる、ていうのを考えている。3つもストーリーがあるので、全体をひとつの作品として見て欲しいなと思います」

山隈「最初のほうですか? 最初は海が見えるみたいな。自然の海と緑があって、振り返ると海みたいな感じのイメージは持っているます。良かったです。わかってもらえて(笑い)」
プログラムがブラッシュアップされたことに記者たちが気づくと、にっこり嬉しそう。
ただ、冒頭のアクセルについては「降りられたと思ったんですけどね」とかなり悔しそうな表情に一変していました。
2位は國方勇樹選手(日本大学)。冒頭のトリプルアクセルは回転不足をとられてしまいましたました。が、それでも全体的に落ち着いた演技で64.21点。
シニアデビューの東京ブロックですね。
國方「最近トリプルアクセルを少しずつ習得できるようになって。他のジャンプも大学生になってから、いろいろと歯車がかみあわさってきた感じ。いい練習ができているので、それも含めてショートをまとめられたのかなと思いました」

國方「日本大学のスポーツ科学部に入って、まわりもトップとしてスポーツでいろいろと競い合っている子たちがいる。刺激的になって、それもスケートにつなげられているのかなと思いました」

國方「水泳部だったり、フェンシング部とかいろいろとあるので、刺激になっています。授業でもスポーツ関連のことが多かったり。スポーツ科学部内で結果出した子たちの大きいテレビ画面で流されたり。みんな頑張っているなって自分も頑張ろうという気持ちになります」

國方「1年半前から練習をしていて。最近、やっと降りれるようになって。大学あがって体もしっかりしてきて、降りられるようになった」

國方「今回は直前の6分間でも結構いい感じでまとめられていたので、試合でまた決めたいです」

國方「ジュニアのときは試合のとき、できるときとできないときの差が激しかった。シニアに上がってこのままだといけないなと思い始めた。それも含めてショートの結果かなと思いました。シニアにあがって、常にまとめた演技をすることが大事なんだな、というのを学びました」

國方「全日本選手権のこととか。今年の東日本の枠も決して多いわけではないので。それも含めてこのままだと良くないかなと思い、頑張っています」

國方「東日本選手権まで出て。ブロック頑張って、東日本選手権に出て。ショートとフリー両方まとめた演技をして、大舞台で自分の納得のいくスケートができればいいなと思います」

國方「はい。あとは大学の試合も重なってくるので、インカレ、東インカレとかもいい演技することが大事だなと思いました」

國方「地元ということもあって、自分的には出たいという気持ちは人一倍強いです」

國方「確率は良くないんですが、1週間前からコツをつかんで。1日1本はなるべく降りるようにします。飯塚杯のフリーでは1本降りられたんですけど、そのあと3+3がひどかったので。明日フリーでは落ちついてリベンジしていきたいと思います」
3位は『TAKE FIVE』をリズミカルに演じた小林諒真選手(法政大学)。佐藤操さん振り付け。冒頭のトリプルルッツは流れがあり、1.57の加点がつきました。
4位の石塚玲雄選手(早稲田大学)は『ロシュフォールの恋人たち』を映画さながらのストーリー感のある演技で魅了します。ステファン・ランビエールを彷彿させる美しいスピンと豊かな表情。さらに表現力にも磨きがかかっていました。
昨年の東日本選手権チャンピオンの唐川常人選手(日本大学)は、トリプルループがダブルに、途中、氷上で転倒するなどのアクシデントがあり、10位スタート。ショート『シンドラーのリスト』を情感たっぷり、せまってくるものがありました。

唐川「練習いい感じだったんですけど、曲が途中から集中力が切れてしまって。失敗も何個かあったので、ちょっと残念だなという感じです」

唐川「いつもより結構、曲にのめりこんで演技をしていたので、逆にコントロールがうまくいっていなかったのかなと思います」

唐川「僕もスケート人生長くやっているので、その中でつらかったことだったり、いろんなことを思い出しながら演じています」

唐川「そうですね。やっぱり一番大きいのは過去に国体予選でいい結果が出せずに、国体に出られないのが悔しく思い浮かびます」

唐川「スケートの調子としては上がってきているので。いつもこれがコンスタントに試合まで継続できるように集中して練習していきたいです」
5位には鎌田英嗣選手(明治大学)が入りました。新しいピンクの衣装で『ウエストサイドストーリー』の『tonight』を演じます。夜の秘密の恋をテーマにしたこのプログラム。指先の使い方ひとつひとつ、映画のような世界観が見事に表現されています。
演技を終えていかがですか?
鎌田「体がいいバランスで動いていたので、緊張してしまったところがもったいなかったな、と。でも動いていたからこそ、ここまで持ちこたえられたかなというショートでした」
1年続けると決めて、今シーズンスタートしました。どういうことを目標にしていきたいですか?
鎌田「今はショートとフリーをきちんとそろえることが小さな目標です。やっぱりトリプルアクセルを本番で入れられるように、準備していきたいというのが一番の目標です」
体の調子はいかがですか?
鎌田「わりと絶好調なんじゃないかと思います」
延長した現役シーズンは?
鎌田「楽しいです。自分で決めたことですし、意外と寂しいかなと思ったんですけど、意外と楽しいです」
今の生活は?
鎌田「大学は前期お休みしていたので、これから少しだけ忙しくなるのかなと思うのですが、スケートのことを中心に考えられる夏が過ごせたので、充実していたかなと」
大学の単位は?
鎌田「ほんの少し残っている状況なので。まあ、きちんとやりつつ、スケートをやってよかったな、もうちょっとやりたかったとか悔いが残らない演技があと2~3回できたらいいなと思っています」
7位の中野耀司選手(明治大学)は宮本賢二さん振り付けの『Mambo Medley』。1996ー97年の本田武史さんの「ティコ・ティコ」を思い出させる衣装と、ラテン音楽のダンス・リズムに合わせた動きで会場からは自然と手拍子が起きました。やっぱりマンボはこうでなきゃ。
男子はジャンプの成功だけでなく、ステップ、スピンなどのエレメンツのクオリティがキーとなる、僅差の戦いとなりました。
レポートはつづきます。
結果はこちらにアップされています。
<撮影・文 廉屋友美乃>
Anyway, we'd like to tribute to Takeshi Honda on his young days. Fantastic!
スケーターたちが使用した映画と音楽
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