
ショート2位から逆転優勝したのは、今季シニアデビューの國方勇樹選手(日本大学)でした。
プログラムは昨年に引き続き『ロクサーヌのタンゴ』です。
昨年の同大会、ジュニア男子チャンピオンでした。
冒頭のトリプルアクセルはステップアウトで回転不足。
続くトリプルルッツ+トリプルトゥループ、
トリプルフリップ、
ダブルサルコウ+オイラー+トリプルサルコウ
と流れのあるジャンプが続きます。
フライングキャメルスピン、足換えのシットスピンではレベル4。
気迫あふれるコレオシークエンスやステップシークエンス。
昨年よりさらに進化した『ロクサーヌのタンゴ』でした。振り付けは岩本英嗣さんです。トータルスコア129.50点、総合193.71点で文句なしの優勝。
東京ブロック優勝おめでとうございます。
國方「ありがとうございます」
お気持ちは?
國方「最近、練習ではフリーもよくまとめられた練習ができていたと思うので、それが結果に少しずつ結びついているのかなと感じました」

國方「自分は試合の時にはテンぱってしまって、緊張してしまうタイプなんで。そこをいつも通りというか、落ち着いて、試合に気持ちを向けつつ、アップしたりしていました」

國方「振付師の先生もいろいろ模索してくれたりして、ここをもう少しこうしたほうがいいとか、自分のコーチとも練習したので。そこがクオリティとして上がったのかなと思いました」

國方「自分的にはコレオステップをすごくかっこよく作ってもらって、自分ももっとかっこよく踊りたいなっていうのはあるんですけど。そこはシニアとして増えたのかなと思いました(ここで気持ちがほぐれたかのような笑顔を見せる)」

國方「シニアでも通用するようなスケーティングだったり、ジャンプだけでなく、踊りだったり、スピンも取りこぼしはあまりよくないので、そういうのを含めて、練習して東日本に向けて頑張っていきたいなと思いました」

國方「普段の曲かけの練習がすべて通して練習したり、前半と後半にわけて練習したりなどしていたのと、普段の曲かけを丁寧に練習することがとても大事なことなんだなと思いました」

國方「山隈太一朗くんだったりとか、大学でうまい選手が東京のほうに来て、自分の中で刺激になったのはそういううまい選手が伏見に来て、そこで一緒にジャンプをしたり、競いあったりして、少しずつ自分も成長できていたのかなと思います」

國方「ブロックは良かったんですけど、自分は特に普段から試合の時、ミスすることが多いので、そこを東日本に向けて。東日本はどうなるかわからないですけど、自分のできる限りの努力をして、また頑張っていきたいなと思います」

國方「普段の朝練で体が動かない状態でも、自分はトリプルを全種類、なるべく飛んで。特にループジャンプを重点的に練習したことによって、それが軸となって、他のジャンプも固まってきたのかなと思います」

國方「そうですね。自分は練習するときはループを起点にしてすべてのジャンプをやっているので、結構重要なのかなと思っています」

國方「大学に上がって、自分のスケートと向き合って考えたときに、自分の中で考えかたとして変わった部分があるんじゃないかなと思います」

國方「そうですね。トップアスリートとしてやっている子たちがたくさんいるので、そういう子たちにも、努力している子たちが身近にいると自分も頑張ろうという気持ちになります」

國方「飛び込みやっている子だったり、アイスホッケーの子だったり。あとは水泳の吉田啓祐くん(※)っていう子がこの間、世界水泳とかに出ていたんですけど、その子も日大なので、“ああ、頑張っているだな”って刺激になります」
※‘19年日本選手権400メートル自由形で優勝。世界水泳は男子4×200メートルリレーに出場した。
2位の山隈太一朗選手(明治大学)はトリプルアクセルは単独とダブルトゥループ2本を入れた構成でした。
演技の始まりからリラックスしているのか、表情豊かに滑っていきます。
フリーは宮本賢二さん振り付け。「POLNAREFE Rhapsody」
男らしさの中にもロマンあふれる動きです。
全体的にまとめた印象でした。
が、しかし、トリプルアクセルで回転不足という判定。
トリプルルッツやトリプルフリップでアテンション。
他にもいくつか取りこぼしがあり、フリーは120.40で2位に。
囲み取材では硬い表情。時折、息をつき、言葉を慎重に選んでいました。
率直にどうですか?
山隈「いやあ、つらいです。つらいですね。その…もっとボロボロで…、負けていたらつらいんですけど、あれなんですけど、そこそこまとめたのはまとめたし。それであれだけ点数もつけられたので、まあ、ちょっと…。純粋に悔しいの域は超えているかなと思います」

山隈「レベルの取りこぼしが一番、すごい多かったのと。回転不足が何個かあったのかなというところだったんですけど、まあ、正直、あの点数だったら、細かいところを含めても勝てるかどうかぐらいなので。純粋に…、去年がなかったかのような、まあ、自分はもうちょっと…(上を向いたりしながら)、うーん、あの、なんて言ったらいいかわかんないですけど(片方の口角をあげながら)、もうちょっと…、自分が思っていたよりレベルの低い選手だなというのが、痛感というかつきつけられた感じ。まあ、ちょっと…。だいぶつらいです」

山隈「もちろん、直すところはたくさんあるし。先生にもまだ、僕の持っているポテンシャルは発揮できてない部分はあるし、余白はたくさんあると言われたんですけど。こっち出てきた当初に持っていたものが大きく崩れた状態なのです。まあ、まだ東も頑張らないといけないし、ただ、この感じだと、怖いなっていう、去年の近畿とはまったく別物の崩れ方っていうか、落ち込み方なので。このメンタルを立て直すには、もう少し考えないといけないなっていうのはあります」

山隈「どっちの試合にしても、負けたくなかったし。正直、負けちゃいけない試合であったから。(大きなため息をつきながら)こういう試合で勝ちきれないのは試合の大小に関係なく、ダメなことだと思うし。あまり…、誇れることは何もないなと思います」

山隈「いいプラグラムだと信じているんですけど…。全部、砕かれた感じです。夏とかやってきたことが。ここまで結果に出ないのかとか。焦っちゃいけないのかもしれませんが。まだ俺のスケート終わったわけじゃないんで。こっからではあるとは思うんで。頑張るしかないとは思います」

「まあ、一歩引いてみると、演技全体を見ると、もっとボロボロになっていたシーズンがあったし。それがだいぶん、今みたいにジャンプを確実にはめることはできているので。後半のルッツ、フリップとかアクセル2本とか、練習でも最近、ずっと決まっていたので、その感じがそのまま出せたというところが良かったので。内容に関するやさぐれというか、つきつけられた結果に対する落ち込みなんで。2年前、3年前の感じとは自分の中では別物。別の形のネガティブな面なので。そこは変わっていけているのかな。そこは良かったかな」

山隈「サマーカップの面で比べたら、体力的な面でも、良くはなったと思うし。内容的にも見ていても、サマーカップの時よりもちょっとだけ落ち着きが出ていると思うんですけど。正直、点数がそんなに大きく変わったわけではないので、まあ、あの…、ちょっとまあ…、それがどうとらえればいいか、今、ちょっとわからないです」


山隈「さっき、先生に言われたのは、プログラムのつきつめるところが、まだできていない、と。ジャンプをやっとまとめるぐらいのところに来たところだから、そこをやることだから、と。どうやら僕はトリプルアクセル2本飛んでも、アクセル飛ばずにまとめた人に負けるみたいなので。4(回転)があればギリギリ勝てるんじゃないかと思うんで。4は装備したいかなあと。まだ飛べるかどうか確証はできないんですけど、4にはちょっと時間は割こうかなと思います」

山隈「はい、4にする予定だったんですけど。ちょっと靴のトラブルもあって、4がちょっとまだ練習できない状況だったので。4をやるより全体のプログラムをまとめることに重視していったので。今回は4はやらなかったです」

山隈「そうですね、サルコウとトゥループとループと。足の状態とか靴の状態とかいろいろ見ながら練習しているんですけど。どうにかひとつが近づいてくれればという感じですね」

山隈「まあ、取りこぼしの部分があるかなと思うんですが…。はっきり“ここだ”っていうのはちょっとまだ言えないですかね。やっぱり自信もあったし、去年というか自分自身が持っているプライドとかもあったから、まあ、ちょっとはっきりここですっていうのはまだわかんないです」

山隈「(少し笑顔になって)ありがとうございます」
3位には石塚玲雄選手(早稲田大学)。服部瑛貴さん振り付けの『ポエタ』はスピンも含めて、あのステファン・ランビエールさんを彷彿とさせる演技でした。
ジャンプではミスも見られましたが、表現力の面では圧倒的な存在感がありました。石塚選手も昨年に比べ、めいめき成長した印象。それもそのはず、この1年、大きな考え方の変化があったようです。
1年の成長を感じました。
石塚「僕も太一朗くんと一緒で、すごい悔しい感じが残ってしまう演技だったなって思って。確かにフリップ+トゥループとか3+3は、そこの3+3はきれいに決まったんですけど。ループと自分が得意にしているサルコウが、開いてしまって、決めきれなかったのが、何をやっているんだろうなっていう感じで、ちょっと演技終わった後もすごい印象に残ってしまった感じです」
去年よりも内容がレベルアップしていると思います。
石塚「まあ、少しは」

石塚「あります。もっともっと、それこそあげていけると思うので。これからの練習が、東日本までの1ヶ月が本当に大事だなって痛感しました」

石塚「トップにいく選手ってみんな、すごいスケートが好きなんだなって、感じることができて。僕ももとからスケートが好きだったんですけど、本気度が足りないと思って。もっと本気にならないと、と思ったので、そこらへんの気持ちの中で、少しいろいろ気づくところがありました」

石塚「全日本終わってから、全日本ショート落ちっていうのがかなり悔しかったので。練習自体頑張っていたんですけど、最初は頭で、“あーしよう、こうしよう”って考えていて。頑張ってはいたんですけど、頭で考えていると自分にとってはうまくいかないことが多くて。結構、モチベーションも一時期、下がってしまったこともあったので。それをどうやって上げていこうかと思ったときに、東京都連の合宿があって。そこでがーっと集中して、練習することができたんですけど、スケートってスポーツだから頭じゃなくて、体で動かして覚えていくもんだなっていうのを再確認できたので。そこから体をどんどん動かして演技しようとか、動かしてジャンプしようとか、体を動かすのが大事なんだなというのがわかって、練習してきました」

石塚「『ポエタ』だけではないんですが、お客さんがこれだけ入っているので、お客さんに見せるっていうのが一番大事かなと思って。アピールというか見て欲しいという思いで滑ってます」

石塚「ショートに関しては曲も振り付けも気に入っていて。いいプログラムなんですけど、まだまだ動きがかたくて。ジャンプも本当はトリプルアクセルにしようと思って、最初のジャンプをアクセルにしたんですけど。結局、練習でそこまで飛べていなくて、いまダブルアクセルを飛んでいる状態なので、東に間に合うかは別として。いまのフィギュア界に頑張ってついていくためにも、そういったジャンプのレベルアップやトリプルアクセル4回転を一刻も早く習得できるようにした上で、ショートの『ロシュフォールの恋人たち』を完成させたいと思います」

石塚「僕の『ロシュフォール』は、まずスピードを出して、お客さんに自分がアイスショーで滑っているようなプログラムにしたいなと思っています」

石塚「ここからは気持ちの勝負になると思うので。みんなそうだと思いますが、気持ちだけは誰にも負けないっていう感じでやっていこうと思っていますし。絶対、東は通過して、全日本に出て、今年は東京で代々木であるので、普段、一緒に練習しているリンクの後輩、小さい男の子や女の子に見てもらいたいなと思っているので、目標を達成したいなと思います」

石塚「一番、見てても、一番感じるのは鍵山優真くん。彼は本当にスケートを楽しみつつ、やっぱりスケートが好きだからこそかもしれませんが、練習の取り組み方というか、気合というか、オーラが違う気がしたので。自分はそこが違うなと思って。そこから取り組み方から違う気がしたので。映像とか見てても、鍵山優真くんはうまいですし、イキイキとしているので、そこらへんは自分もどんどん取り入れたいので、そういうところをよくしていきたいなというのが大きかったです」

石塚「そうですね。結構、鍵山優真くんだけに限らず、西山真瑚くんや吉田唄菜ちゃん、あの二人の演技を見ることが最近多くて。特にフリーの『ドン・キホーテ』はそれこそ、オーラがありますし、僕がさっき言った、お客さんに見せる演技ができている演目だと思うので。ああいうオーラというか雰囲気を放っている選手は上に行くんじゃないかなと個人的には思いました」
ご自身がオーラを身に着けるってなった場合、どんなところに気を付けていきたいですか?
石塚「オーラを出そうと思いすぎるとそればかり意識してダメだと思うので。まずはスケートが好きでいることが大事かなと思いますし。スケートを好きでいるためにも、自分の練習の中でどんどん体を動かしていって、スケートはスポーツなんだなとどんどん感じられるように練習していこうかなと思います」

石塚「個人的には振り付けもそうですけど、踊ることがフィギュアスケートにとって大事なことなんです。ダンスを最近少し習っていて」

石塚「ジャズダンスとヒップホップなんですが、ヒップホップの方がすごく難しくて。全然できなかったので、結構、落ち込んだんですけど。ヒップホップはキレのあるダンスなので、僕ももっとキレを出していきたいですし、そこらへん、もっとうまくなりたいので、ダンスは続けていきたいなと思いました」
ショートの『ロシュフォールの恋人たち』は「まるで映画を見ているような演技内容でした」と伝えると、「実は東伏見のリンクだから、『プリンスアイスワールド』で滑っているような気持ちでいます」とにっこり、答えてくれました。
4位には『仮面の男』(振り付け・川越正大さん)を演じた鎌田英嗣選手(明治大学)が入りました。やはり映画俳優を思わせるきりりとした表情の作り方、指先の使い方など一級品。動きもひとつひとつキレッキレッでした。
さらに磨きをかけ、それぞれ東日本選手権へと向かいます。
結果はこちらにアップされています。