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 シニア女子は永井優香選手(早稲田大学)がショート、フリーともに1位で完全優勝を果たしました。
 夏から積極的にローカル大会に出場し、好調さを見せていた永井選手は、赤と黒を基調としたキラキラと光った華やかな衣装で登場しました。『アディオス・ノニーノ』(振り付け・宮本賢二さん)を演じます。
 貫禄十分、華やかなオーラを放ちます。なめらかで伸びのあるスケーティングが永井選手の持ち味です。タンゴのリズムにのせて、大人の女性の魅力を存分に発揮し。あでやかな動きと表情がたっぷりと加わります。
 冒頭のトリプルルッツがシングルになった以外、崩れることなく、情感たっぷりに魅せました。
永井優香220191004

優勝おめでとうございます。
永井「えっと、(息を切らせながら)最終滑走が久しぶりだったので、緊張が出てしまったんですけど。最初のジャンプを失敗してから、総崩れすることなく終えられたので、まだよかったなと思う反面、やはり悔しいです」
ルッツがパンクしてからは落ち着いていたなとは思っていたんですが、そのあたり意識して滑っていました。
永井「すごく緊張はしていたんですけど、練習で、どれも降りているジャンプだったので、何も考えずにやりました」
終わったあと、(宮本)賢二先生からも声をかけられていましたが。
永井「“きれいに滑っていたよ、嘘だけど”って言われました(笑い)。あはっははは」
またショートと違った曲調でしたが。
永井「賢二先生が来ているのも試合の前に気づいたので、やばいと思って。ほんのちょっとは意識してきたんじゃないかなと思います」
結構、滑り込んできたと思うんですけど、プログラムの手ごたえっていうのは今、どうですか?
永井「ジャンプを降りるっていうのをメインに練習してきたんですけど、それは結構、できるようになってきて。本番で滑ってみると実際にできないのが判明したので。もっと積み重ねようと思います」
すごく色っぽいプログラムだなと思うんですけど、ご本人の中ではどんなことを意識していますか?
永井「うーん、そうですね。最初と最後のステップは特に見せることを意識してやっているんですけど、間はジャンプに夢中になっている面があるので、練習を積み重ねていきたいです」
東日本に向けては?
永井「今回もミスが、今まで降りていたところでミスをしてしまったので、今度こそはそれを降りられるようにしたいです」
全体的には順調に来ているとは思うんですが、自分ではどうですか?
永井「うーん、練習でノーミスできる回数も増えてきたので。ただ本番はやっぱり難しかったので、メンタル面も大事になってくるかなと思います」
メンタル面が大事というのは、今後、どうやって改善していこうと思っていますか?
永井「日々の練習の積み重ねが本番での自信につながると思うので。普段の練習は厳しくやって、本番では楽しめるぐらいの気持ちでできるようにしていきたいです」
佐藤伊吹20191004 ショート2位の佐藤伊吹選手(明治大学)は、『アランフェス』(振り付け/横谷花絵さん)をエモーショナルに演じます。
 冒頭のトリプルループ+トリプルトゥループを鮮やかに成功。
 次のダブルアクセルがシングルに。トリプルルッツで転倒、トリプルフリップで回転不足。後半のダブルアクセル+トリプルトゥループでステップアウト。フリーは4位に終わりました。
 ただし、後半の見せ場。
 トリプルループ+とダブルトゥループ+ダブルループの3連続をきっちりと決めています。
 ショートとあわせて2位に。

お疲れ様でした。東京ブロック終えていかがですか?
佐藤「フリーで大きなミスがふたつ出てしまったので。練習はフリーを通してきたつもりだったので、それが出せなかったのが悔しかったです」
プログラム、去年のフリーとはまったく違った感じだと思うんですけど、プログラムを滑っていかがですか?
佐藤「作ったのがまあまあ早めだったので、滑り込めてないというのはそんなになかったと思うんですけど、今日はジャンプに集中しすぎてしまって、表情とかうーん、大人っぽい動きがおろそかになってしまったところはあると思います」
プログラム、どんなテーマを持って滑っていますか?
佐藤「去年はちょっとかわいらしい感じでもあったんですけど、今年は強さも出せるようにしようと思って練習していました」
強さがテーマですか?
佐藤「はい」
難しい曲ですが。
佐藤「私も好きな曲なので、気持ち的には結構、去年のも好きだったんですけど、今年もなじむのは早かったなと思います」
お気に入りの部分は?
佐藤「最初の下を向いてから、3カウント目で前を向くところで。目力とか最初の試合では緊張してできなかったんですけど、ここ2回ぐらいでは曲に合わせてできるようになったので。そこを合わせてやりたいと思います」
ここから東日本に向けて。
佐藤「今日、失敗したアクセル+トゥ+トゥとルッツは、ルッツは確率が悪かったので、そこをまず形を直して確率をよくすれば臨めるので、その2つを重点的にやりたいです」
船迫麗愛20191004
 総合3位に入ったのは船迫麗愛選手(日本大学)。ショート9位から巻き返してフリーでは2位に入りました。
 ミュージカル『CHICAGO』(振り付け/佐藤操さん)には、船迫選手のコケティシュな魅力がこんこんと泉のようにあふれでています。
 これまでジャンプの回転不足があり、今回はトリプルループこそダウングレードでした。が、その他のジャンプはしっかりとまとめてきました。
 
3位に入っていかがですか?
船迫「ショートでは武器の3+3が入らなくて、悔しい結果になったんですけど、フリーでは、出し切れることを出し切れたかなと思って、それが結果にもつながったので良かったです」
点数見ていかがですか?
船迫「90点台に乗ったのが久しぶりだったので、すごいうれしいです」
90点台に乗せられたのは?
船迫「ひとつひとつジャンプを回転不足しないように練習していたので、それがやっとできたかなという感じです」
試合で回転不足をとられることが多かったと思いますが。
船迫「練習から試合の時みたいな気持ちで、意識して練習するようにしていて。最近、調子も上がって来ていて、自信を持ちながら滑れるようになったので、それがつながったかなと思います」
ご自身でも手ごたえは?
船迫「あります」
プログラム、かわいい『CHICAGO』。プログラム自分ではどう思って演じている?
船迫「すごいかわいいって言ってもらえることが嬉しいですけど。振り付けの先生からはもっとセクシーさとか色気をテーマに作っていたので、もっと色気出せるように頑張りたいです」
全日本はどういう風に見ている?
船迫「全日本は高校3年生のときに一回、出られたんですけど、それから出られていなくて。出られた時もフリー滑ることができなかったので、まず全日本に行くことを目標にして、この『CHICAGO』を全日本で踊りたいなと思っています」

井上千尋20191004 ショート3位だった井上千尋選手(明治大学)はフリー8位で総合5位に。小林れいさん振り付けの『ロミオとジュリエット』をはかなげに演じました。ジャンプの乱れがいくつかありましたが、スピンはレベル4。ステップシークエンスもどっしり重厚感がありました。
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 フリーでは大きな歓声と注目を浴びたのはこの人でしょう。17位でショートを終えた時点で、「明日があるかどうか」と口にしていた松原星選手(明治大学)。体調不良、ケガがある中、さすがの集中力でしっかりとフリーは決めてきました。

 
フリーは『Safe and Sound』(振り付け/川越正大さん)

 トリプルサルコウ+トリプルトゥループ+ダブルトゥループ、トリプルサルコウ+トリプルトゥループを成功。潜在能力からすると難度を落とした演技構成ではありました。が、スピンでレベル4を獲得するなど、プログラムの完成度は非常に高いものでした。フリー3位で巻き返し、総合4位に。東日本選手権への切符をもぎとりました。
 
フリー滑りきりましたけど、いかがですか?松原星20191004
松原「すごい疲れました。(息を切らせて)できて、まとめられたかな、と思ったので、良かったです」
ひとまず東日本の通過ラインは超えたかなと思うのですが。
松原「本当に70何点ぐらい出せればいいなと思っていたんですけど、意外と70何点出していて前半。結構焦っていました」
それでもこうして演技をまとめられたのは。
松原「サルコウでいつも悩んでいて、また悩みだして、朝やばくて・・・。飛べてはいるんですけど、結構、不安だったのです。サルコウ飛べなかったら、(ブロック)通過できないなとわかっていたので、ひたすら考えていました」
演技まとめられたことは今後、どんな風につながっていきそうですか?
松原「うーん、とりあえず結構、つめたので。最後のほうは。つめてどんな状況でも自分を信じてやればとりあえずまとめられることはわかったので。安心しました」
昨シーズンとはだいぶ違うフリーですけど、どんなことをテーマにされていますか?
松原「去年が結構、はずれた感じだったんですけど、いつもこういう感じです。その中でも静かなほうなので。1回では印象に残らない感じなんですけど。全日本までに曲を理解してもらいたいなと思います」
どんなテーマでやっているんですか?
松原「誰かを思うみたいな歌詞なんですけど。いつも強くやっちゃうんで、緊張するとぶんぶん振り回して、少しでも柔らかく動けたらいいなと思っています」
このプログラムを通して伝えたいことは?
松原「ザ・川越(正大)先生っていう動きを入れてもらっているので、川越先生だなっていう動きができたらいいなと思います。ひでくん(鎌田英嗣選手)とかすごいじゃないですか。川越先生って感じじゃないですか。そういうのが取り入れられたらいいなと思います」
次は東日本選手権に向かってはどういうことを考えていますか?
松原「一か月ないので、少しでも多く練習して。学校も始まっちゃうので。ひとつひとつの練習を大事にしていきたいと思います」
東日本選手権での目標は?
松原「1位と言いたいところですが、とりえず全部戻して、全日本に行けるように、後半グループに入れるように頑張りたいと思います」
東日本選手権に向けて構成は変える?
松原「あのままじゃやばいですよね。明日から練習で。フリップ+トゥをまったくやっていないので。少しずつやっていきたいと思います」
最後はダブルアクセルでしたが、ダブルだとそんなに痛くない?
松原「全然、踏み込まないですからね。練習でフリップとルッツ、結構、“おりゃ!”ってしめるんで。回りすぎて、ずこんと転んで、結構、やっていて、最後ルッツは不安だったんですけど、アクセルパンクしてもう一回やったんで、フリップを入れなくて済んだんで。フリップ毎回、まわりすぎて、2回転半でごんと転ぶんで、やばいと思っていました」
ザ・川越プログラムの動きは?
松原「最初、サルコウ+トゥが終わった後の動き。最近は短縮しちゃっているんですけど、そのあとの動きが川越先生っぽいなと思います。あとステップの時、ジャッジの前で一回手を出すんですけど、そこも川越先生と思ってやっています」
女子フリー表彰台20191004

 結果はこちらにアップされています。2019 東京ブロック選手権大会

<撮影・文 廉屋友美乃>
川越プログラムとは? 
 説明せねばなるまい。トップスケーターたちの間でときどき囁かれる「ザ・川越プログラム」、あるいは「カワゴエ・マジック」。インストラクターで振り付け師でもある川越正大氏の手がけたプログラムには、この「ザ・川越」が随所
で組み込まれている。初級のバッジテストのステップ審査でも手の動きをつけ、氷上の美を追求し、「あ~ら、川越先生らしいパフォーマンスね」という声がこぼれてしまうほど。主に手や指先の動きに特徴があるらしい。が、その全貌はトップシークレットで明らかにされていないのである。競技会にて注目されたし!(Yoko Umeda)






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