
NBAのレジェンド、マイケル・ジョーダンは彼のもつジョーダン・ブランドと共同で、声明文を発表した。
「黒人の命は大切だ。これは論争を目的としているのではない。この国の制度を破綻させる根深い人種差別が完全になくなるまで、われわれは黒人の命を守り、より大切にしていく活動を続けていく」
声明文全文
https://news.nike.com/news/jordan-brand-statement-on-commitment-to-black-community
現役だったときは政治的な発言を避けていたジョーダンだったが、ミネアポリスのジョージ・フロイド事件と、抗議デモについては、
とコメントしていた。
Michael Jordan Reveals Struggle With Racism In New Book Chronicling Legend's Life https://chicagodefender.com/michael-jordan-reveals-struggle-with-racism-in-new-book-chronicling-legends-life/
2014年に出版された「ザ・ライフ」では、ジョーダンの曾祖父の時代はノースカロライナではKKK(白人至上主義団体)が活発だった。商工会議所のような役割を果たし、子供たちに野球のユニフォームを提供したり、聖書を買って与えていたと記述されている。
たしかに大ベストセラーになった「風と共に去りぬ」にしても、映画ではKKKについては意図的にふれていない。が、原作を読むと、アシュレー・フランクスもフランク・ケネディら元南部の軍人たちはすべてKKKの会員。危ない目にあったスカーレットの名誉を守るため、黒人のならずものたちを焼き討ちし、アシュレーは負傷し、フランクは命を落とす。
KKKは紳士の社交クラブで、非合法ながら治安を守り、黒人をかばう白人にはバツを与える。さらに政治的な活動をしようとする黒人は抹殺する集団への変貌していくのだが、そこまではこの物語では触れていない。
あのマルコムXも、父親は殺害された疑いが強かった。頭が変形されるほど殴られ、線路で体を3つに割かれた遺体だったにもかかわらず、警察は「自殺」と判断。死亡保険金がおりなかった。
海をこえたイギリスの文学にもKKKは登場している。1981年に発表されたシャーロック・ホームズの「オレンジの種3つ」という作品だ。
ホームズの本によると、次のように触れている。
KKKは「クー・クラックス・クラン」。ライフル銃を撃つとき出る音と奇妙に似ていることから、名付けられた。この恐ろしい秘密結社は南北戦争の元兵士によって、南北戦争後に南部の州で結成され、急速にその後で広まった。とくに目立つのはテネシー、ルイジアナ・カロライナ、ジョージア、フロリダである。政治的な目的をもち、主に黒人の投票者を脅かし、殺害し、自分たちの考え方に反対する人間を追い出したり、暴力に訴える。
さて、物語ではなく、現実の話、全米組織としてのKKKは1927年の時点で崩壊したという説が強い。
KKK崩壊のきっかけは1925年、指導者的存在のデビッド・カーチス・スティーブソンが起こした事件が契機となった。
彼はインディアナ州の女性教師マッジ・オーベルホルツァーを拉致。自分専用の列車に連れ込み、強姦し、身体中を噛んだ。
解放されたとき彼女は「必ず法があなたを裁くでしょう!」と叫ぶ。
スティーブンソンは笑いながら「私が法律だよ」と答えた。
オーベルホルツァーは自殺しようと水銀を飲み、3月28日にスティーブンソンを告発し、4月14日に腎不全で死去した。
スティーブンソンと弁護士は、無実を主張するが、司法は第2級殺人罪で、終身刑を宣告する。
この事件でKKKのイメージ悪化。インディアナ州では1928年には18万人もいたメンバー数が、たちまち4,000人にまで激減する。
なお、1926年、スティーブンソンは恩赦を拒否されると、地元新聞「インディアナポリス・タイムズ」を通じて、KKKから賄賂を受け取った州政府高官の実名を公表した。知事をはじめ多くが有罪を言い渡され、辞職した。
スティーブンソンは1950年5月23日に仮釈放。
12月15日、ミネソタ州ミネアポリスでふたたび逮捕され、以後10年間の仮釈放不許可を言い渡された。
1956年12月22日、インディアナ州を去ることを条件に再び仮釈放。
1961年、70歳になったスティーブンソンは16歳の少女に性的な嫌がらせを働いた容疑でテネシー州にて逮捕。証拠不十分で釈放される。1966年没。
KKKはあくまで白人主義。白人以外の人種に市民権を与えるべきではない。
彼らの敵は黒人、そして、アジア人、ヒスパニックも加わっている。
差別の心は人間なら誰しもが根底でもっているもの。お互いを理解しようとする気持ちを捨て、暴力に走ったとき、そこからは悲劇しか生まれない。
るるゆみこさんの連載「ブラックカルチャー通信」では、アメリカで今現在、起きていることをほのぼのタッチで、鋭く綴っている。
さらに彼女はブログでも、なぜ彼らが怒っているのか、その背景と生活ぶりにもふれている。以下の2本、ぜひご笑覧あれ。連載第8回 3度目の正直なるか。リコンストラクションの成功を祈りたい
願い…ジョージ・フロイド事件と抗議運動(ブログより)