“A well regulated Militia, being necessary to the security of a free state, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed”
「規律ある民兵は、自由な国家にとって安全にとって必要であるから、国民が武器を保蔵しまた携帯する権利は侵してはならない」(アメリカ合衆国憲法修正第2条より)
冒頭に「規律のある民兵」とは?
もともとイギリスの植民地だったアメリカは1775年、独立するためにイギリスと戦争をはじめた。このとき自分たちの銃をもって、駆け付けたのがアメリカの一般市民たちだった。つまり「民兵」とはこの一般市民を指している。
一般市民が銃をもち、規律ある民兵として戦ったからこそ、豊富な武器をもったイギリスに打ち勝つことができた。こうした歴史と伝統を無視して、アメリカを他の国と同列に語ることはできない。
ただ、銃をもつことの副作用があまりにひどい。ここ数年、年間4万人あまりが銃によって死亡しているのだ。
アメリカの警察は州ごとなので、日本の警察のように全国の活動を統括する組織がない。FBIはまた別な組織になる。
そのため、警察によってアメリカでどれだけの人間が殺されているか、というデータは存在しない。
ただ新聞社や専門家や研究団体が独自に調査し、その結果を合計して、それが数字として出ている。
なんと毎年およそ千人が警察官によって殺されているではないか。
たしかに人数自体は白人の方が多い。
ただ人口比としては黒人のほうが圧倒的に多く、たしかに何も違反はしていなくても黒人が白人の住む住宅地を運転していると、警察がとめて「免許と保険証をみせろ」と威圧的な態度で尋問する光景はごく日常なのだ。
明らかに肌の色で、人を差別している。
しかし、それ以上にひどい現実のできごとがスマホで簡単に撮影され、SNSで拡散される時代になった。ジョージ・フロイドの不幸な死も以前だったら、世界中で話題になるようなことはなく、風化されてしまった可能性が高い。
エミー賞のドキュメンタリー&ノンフィクション特別番組部門で受賞した「13th -憲法修正第13条-」(原題:13TH、2016年)が YouTube で無料公開されている。必見。
冒頭はオバマ大統領自身の言葉からはじまる。
「統計上アメリカの人口は世界全体の5%にすぎない。にもかかわらず、アメリカの受刑者は世界全体の受刑者数の25%を占めている。そのことを考えてみてくれ」
2021年4月20日。デレック・チョーヴィン裁判。ミネソタ州ミネアポリス警察の元警察官、デレック・チョーヴィン被告に対し、第2級殺人、第3級殺人、故殺のすべての罪状に対し、有罪判決が言い渡された。
↓るるゆみこさんの連載が更新されています。
本誌Chicago Defenderの関連記事です。(英語のみ)