日本ハムファイターズの監督に就任した新庄剛志の記者会見、びっくりした人も多いだろう。

 

お笑い芸人も勝てそうにない、笑いにあふれた新庄のトークはのオジー・ギーエン元シカゴホワイトソックス監督を彷彿させた。

 ともかくギーエンという男、30秒と黙っていることがなく、コメディアンさながら、周囲を笑わせてばかり。現役のときからに日米野球で秋葉原にアテンドしたり、家族で栗山英樹(元日本ハム監督)とミニゴルフをしたりする機会があった。

 監督になってからも試合前のダグアウトで、記者に囲まれながら、自分の写真がのっている雑誌を手にとり、

「わーお、それにしてもオレなんていい男なんだろう。女たちはみんなこの写真を見て、オレにほれてしまうだろうな~。うーん、もうチュバチュバ!」と、雑誌の写真にキスしまくったりする。

 

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 ベネズエラ人なので英語になまりがある。シカゴは寒いのでクビによくタオルをまいて、マフラーの代わりにしていた。その様子は日本のたこ焼き屋のおじさん風。井口資仁(現千葉ロッテ監督)が横に立つと、顔だちが濃い。なんだか見ているだけで笑いがこみあげてくるコンビだった。

 

  2005年、井口はホワイトソックス入りして1年目になんとワールドシリーズまで制覇。

 2番打者として、打てる球がきても1塁にランナーがでると、たびたび見送りのサインがくる。ときには絶好球を見逃さなくてはならず、井口は内心かなりイライラしていた。

 

 私は現地でほぼ全試合、取材していた。井口自身も著作で当時の心境のことは記述している。

 

ブレないメンタルをつくる心の軸
資仁, 井口
ベースボールマガジン社
2013-11-01

 



「スマートベースボール」をぶちあげたギーエン監督の采配は、決してぶれなかった。

 そして、機会あるごとに井口に感謝の気持ちを口にした。

MVP井口だ。本当にやつには辛抱させてしまった。やつがいたから優勝できたのだ」

 

 ギーエンは「失言王」なので、シカゴ・サンタイムズの記者ジェイ・マリオッティに対し、放送禁止用語で大ケンカ。コミッショナーから厳重注意と罰金を受けている。

 

2011427日には退場処分となった後、試合中にツイッターに書き込み、審判をなじった。
 これは2試合の出場停止処分。メジャーリーグでは試合中のツイッターを禁止している。

 

2012年にはキューバのカストロを称賛する発言で、5試合出場停止処分が下された。

 

とはいえ、そんなことでギーエンはくじけない。笑いとばす。
 ホワイトソックスの後もあちこちで監督として声がかかり、まだまだ元気だ。


 新庄の言動もほんの序の口。これからさまざまな物議を呼ぶことになるだろう。
 何をしでかすかわからない新庄の今後に期待したい。  
 

彼は間違いなくかつてパリーグを変えた。今度は日本のプロ野球、しいてはスポーツビジネスそのものを変えようとしている。
 <文責・梅田香子 イラスト・大日向はるか>