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 米国中西部イリノイ州のエバンストン市は、過去の黒人差別たいして賠償金を支払う決定を下した。2021年3月22日のことだ。

 市議会は、黒人差別制度で被害を受けた住民とその子孫に計40万ドル(約4400万円)を支払う法案を賛成多数、可決した。これは米国の連邦議会やカリフォルニア州やノースカロライナ州でも討議が進んいる。
 
 エバンストン市はシカゴの北部、ミシガン湖に面する人口7万人強の美しい街だ。ノーベル賞を22人もだした名門ノースウエスタン大学もある。
1920px-Northwestern_University_lakefill_panorama   賠償の対象は、1919年から69年まで存在した黒人差別を許す市条例の被害者とその子孫だ。
 1919年、エバンストン市は黒人を西部にある三角形の区画に強制的に居住させる条例を制定した。
 
 今回は40万ドルをあった住民や子孫に支払われる。さらに1世帯当たり2万5000ドルを上限に、住宅購入や自宅の修理費に当てることを条件に支給する。
 
 提案した市議のロビン・ルー・シモンズ市議はコメントした。
 
「この支払いで黒人全体の問題が解決するわけではないが、一歩前には進むことができる」


 ただし、賛否両論、課題はまだ多い。
 この決定で恩恵を受けられるのは16世帯にすぎないし、賃貸住まいの住民は対象外だ。
 
 とはいえ、エバンストン市の決定は米国では初。
 30年以上も前から、連邦レベルでは、奴隷制の賠償問題を求める法案「H.R.40」は主に下院で提出されつづけてきた。
 民主党幹部は賠償問題に前向きだ。逆に共和党を中心に反対の声は根強い。

 米国の黒人人口は約4400万人、米先住民族や日系アメリカ人への賠償に後れを取っている。

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